子どもの発熱について

子どもの発熱は、体がウイルスや細菌などの病原体と戦っているサインです。発熱は「病気そのもの」ではなく、免疫がしっかり働いている証拠ともいえます。体温が上がることで免疫細胞の働きが活発になり、ウイルスや細菌の増殖を抑える効果があります。つまり、熱は体を守るための防御反応なのです。
特に子どもは免疫機能がまだ十分に発達していないため、風邪や感染症にかかるたびに発熱を繰り返しますが、これを通して少しずつ免疫が育っていきます。多くの場合、発熱は数日で自然に下がり回復していきます。
ただし発熱の原因はさまざまで、ウイルス感染による一過性のものから、肺炎や尿路感染症などの細菌感染、まれに重い病気が隠れていることもあります。熱の高さだけで重症度を判断することはできませんが、ぐったりしている、顔色が悪い、水分がとれないなどの症状がある場合は早めに受診することが大切です。
発熱は子どもの成長過程でよくある症状ですが、焦らず体のサインを見極めながら適切に対応していきましょう。

発熱したらここをチェック

熱の高さよりも「元気があるか」を観察

発熱時は体温の数字だけにとらわれず、お子さんの様子をよく観察しましょう。高熱でも元気に遊んでいれば大きな問題がないことが多いですが、逆に微熱でもぐったりしている、反応が鈍い場合は注意が必要です。顔色や目の輝き、声の出し方などを見て判断しましょう。

食欲・水分摂取の様子を確認

熱があると食欲が落ちることがありますが、水分がとれていれば大きな心配はありません。お茶や経口補水液などを少しずつこまめに与え、尿の量が減っていないかも確認しましょう。唇が乾く、泣いても涙が出ないなどは脱水のサインです。

呼吸の様子や顔色をチェック

息苦しそうにしていないか、肩で息をしていないかなど、呼吸の状態を観察します。呼吸が速い、ゼーゼー音がする、顔色が青白い・唇が紫色などの場合は、すぐに医療機関を受診してください。特に乳幼児では呼吸の異常が重症のサインになることがあります。

発疹・咳・下痢・嘔吐などの併発症状を見逃さないように

発熱に伴って現れる症状は、病気の原因を見分ける手がかりになります。発疹が出ている、咳が強い、下痢や嘔吐が続く場合は、記録して医師に伝えると診断に役立ちます。症状が急に悪化したり、長引くときは早めの受診を検討しましょう。

発熱の経過(時間・回数)を記録

何時にどのくらいの熱が出たか、解熱剤を使ったかなどをメモしておくと、診察時に大変役立ちます。特に乳幼児は症状を言葉で伝えられないため、保護者の観察記録が重要です。体温は1日数回、一定の間隔で測るようにしましょう。

発熱したときの家庭内でのケア方法

安静にして無理に活動させない

発熱時は体力を消耗しやすいため、無理に登園や外出をさせず、静かに過ごしましょう。寝てばかりでも問題ありませんが、寝苦しそうなときは体勢を変えたり、背中を軽くさすってあげると楽になります。休養が一番の回復につながります。

こまめな水分補給で脱水を防ぐ

発熱により汗や呼吸で水分が失われるため、こまめな水分補給が大切です。お茶や水、経口補水液を少量ずつ頻回に与えましょう。特に乳児は短時間で脱水になりやすいため、授乳やミルクの量を減らさないよう注意してください。

衣服や室温を調整して快適な環境を保つ

厚着をさせすぎると体温がこもり、かえって不快になります。薄手の服にして、汗をかいたらすぐに着替えさせましょう。室温は20〜25℃程度、湿度50〜60%を目安にします。エアコンや加湿器を上手に使って快適な環境を整えましょう。

食欲がないときは消化のよい食事を少しずつ与える

無理に食べさせる必要はありません。おかゆやスープ、ゼリーなど、消化のよい食事を少量ずつ与えましょう。食欲が戻ってきたら徐々に普段の食事に戻していきます。水分や栄養がとれない状態が続く場合は、早めに相談してください。

解熱剤はつらそうなときのみ

熱を下げることが目的ではなく、お子さんが楽に過ごせるように使うのが解熱剤です。ぐったりしている、眠れない、食事や水分がとれないときに使用します。使用量や間隔は必ず医師や薬剤師の指示に従い、自己判断での過剰使用は避けましょう。

発熱したときの受診タイミング

診療時間内に受診する

  • 38℃以上の発熱が2〜3日続いている場合は、感染症や細菌感染の可能性もあるため受診をおすすめします。
  • 発熱に加えて咳・鼻水・発疹・下痢などの症状があるときは、原因を特定するための診察が必要です。
  • 元気があっても、食欲がなく水分摂取が減っている場合は脱水のリスクがあるため早めに相談しましょう。
  • 保育園や学校で感染症が流行している時期は、同じ病気の可能性もあるため受診が安心です。
  • 発熱を繰り返している、または解熱と発熱を交互に繰り返すときは、経過観察だけでなく受診を検討しましょう。

診療時間外に受診する

  • 夜間に高熱が出てつらそうなときや、眠れないほどぐったりしている場合は、夜間・休日診療所の受診を検討してください。
  • 呼吸が速い、息が苦しそう、胸が大きく動くなどの呼吸症状がある場合は、診療時間外でも受診が必要です。
  • 解熱剤を使ってもすぐに高熱が戻る、または意識がもうろうとしている場合は、早めに医療機関へ。
  • 初めての高熱で保護者が不安を感じる場合も、夜間救急相談(#8000など)を利用して指示を受けると安心です。
  • 水分がほとんどとれない、尿が半日以上出ていない場合は、脱水が進む前に受診を考えましょう。

救急車を呼んで緊急受診する

  • 意識がもうろうとしている、反応が鈍い、呼びかけに答えないといった場合は、すぐに救急要請してください。
  • 顔色が悪い、唇や爪が紫色になるなど、酸素が足りていないサインがあるときは緊急対応が必要です。
  • 痙攣(けいれん)が5分以上続く、またはけいれん後に意識が戻らないときは、すぐに救急車を呼びましょう。
  • 呼吸が苦しい、息をするたびにゼーゼー・ヒューヒュー音がする場合も、速やかに受診が必要です。
  • 生後3か月未満の赤ちゃんの発熱(38℃以上)は、重い感染症の可能性があるため、迷わず救急搬送を。

大田区、目黒区、東急目黒線沿い(田園調布、奥沢、大岡山、洗足、西小山、武蔵小山など)、東急大井町線沿い(自由が丘、緑が丘、大岡山、旗の台など)で、子どもの発熱の診察をご希望方はぜひ一度、大岡山こどもアレルギークリニックへご相談ください。