HPVワクチンは女の子だけ? 男の子自身を守る接種と大田区の助成制度

これまで当ブログでは、子宮頸がんとHPVワクチンについてご紹介してきました。

HPVワクチンは「子宮頸がんワクチン」と呼ばれることも多いため、「女の子のためのワクチン」という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし、HPV(ヒトパピローマウイルス)は女性だけが感染するウイルスではありません。今回は、まだ十分に知られていない「男の子のHPVワクチン」についてお話しします。

HPVは男女ともに感染する身近なウイルスです

HPVは、男女ともに感染する可能性のある、ごくありふれたウイルスです。主に性的な接触によって感染し、多くの場合は体の免疫によって自然に排除されます。

一方で、特定の型のHPVへの感染が長く続くと、将来さまざまな病気につながることがあります。

男の子自身を守るための接種です

男性もHPVに感染し、尖圭コンジローマや肛門がんなどを発症することがあります。

尖圭コンジローマは、性器や肛門の周囲にいぼができる病気で、治療をしても再発することがあります。また、HPVワクチンは、肛門がんや尖圭コンジローマなどの原因となるHPVへの感染予防が期待でき、HPVが関係する一部の中咽頭がんの予防にもつながると考えられています。

男の子がHPVワクチンを接種することは、将来のパートナーへの感染を防ぐという意味だけではありません。何よりも、男の子本人をHPVに関連する病気から守ることに大きな意義があります。

HPVワクチンは、すでに感染しているHPVを治療するワクチンではありません。そのため、感染する前の年齢で接種することが大切です。

小学生や中学生の時期にワクチンを考えるのは、今すぐ性に関することを心配させるためではなく、将来の健康を守るために、今できる予防をしておくためです。

世界では男の子への接種も進んでいます

海外では、女の子だけでなく、男の子にもHPVワクチンを接種する国や地域が増えています。

下の図は、2024年における各国の15歳時点でのHPVワクチン初回接種率です。カナダ、オーストラリア、イギリス、アメリカでは、男女ともに高い接種率が報告されています。

日本では、女の子のHPVワクチンは定期接種ですが、男の子への接種は全国一律の定期接種にはなっていません。そのため、男の子への費用助成の有無や対象年齢は自治体によって異なります。
「男の子もHPVワクチンを接種できること」や「自治体によっては費用助成を受けられること」が、まだ十分に知られていないのが現状です。

大田区では男の子の接種費用が助成されます

大田区では、男の子のHPVワクチン接種費用を全額助成しています。
対象となるのは、接種日現在、大田区に住民登録のある小学校6年生相当から高校1年生相当までの男性です。
主な制度内容は次のとおりです。

  • 対象者:大田区に住民登録のある小学校6年生相当~高校1年生相当の男性
  • 対象ワクチン:4価HPVワクチン(ガーダシル)および9価HPVワクチン(シルガード9)
  • 助成内容:必要な接種について3回まで全額助成
  • 接種場所:大田区内の協力医療機関
  • 手続き:医療機関に設置されている予診票兼助成申請書を記入して接種

9価HPVワクチンは、1回目を15歳になるまでに受ける場合、2回接種が可能です。15歳になってから接種を始める場合は、原則として3回接種となります。

高校1年生相当の方は、標準的な接種スケジュールでは完了までに約6か月かかるため、早めに接種についてご相談ください。

なお、当院で大田区の助成を利用して無料で接種できるのは、大田区に住民登録のある対象年齢の男性です。目黒区など大田区外に住民登録のある方は、大田区の助成を利用した無料接種はできません。お住まいの自治体の制度をご確認ください。

制度の詳細は、大田区ホームページをご確認ください。
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/yobou_sessyu/kodomo/menshpv.html

※制度内容は2026年8月現在の情報です。

HPVワクチンの副反応について

接種後には、注射した部位の痛み、腫れ、赤み、頭痛、発熱などがみられることがありますが、多くは一時的なものです。
また、注射への緊張や痛みをきっかけに、めまいや失神が起こることがあります。接種後は医療機関の指示に従って、座った状態などで体調を観察します。
頻度は低いものの、重い副反応が起こる可能性もあります。接種前にワクチンの効果と副反応について説明を受け、分からないことや不安なことがあれば医師にご相談ください。

男の子の接種についてもご相談ください

HPVワクチンは、「女の子だけのワクチン」ではありません。
男の子自身を尖圭コンジローマや肛門がんなどのHPV関連疾患から守るためにも、接種について考えていただきたいワクチンです。
当クリニックでは、接種するワクチンの種類や回数、接種間隔、効果、副反応についてご説明したうえで接種を行っています。
大田区に住民登録のある対象年齢の男の子で、HPVワクチン接種をご希望の方や、接種について迷われている方は、お気軽にご相談ください。接種をご希望の方は、当院ホームページからWEBまたはLINEでご予約ください。

監修者情報

山本 佳樹
大岡山こどもアレルギークリニック 院長

経歴

  • 1992年 日本医科大学卒業
  • 1993年 日本医科大学付属病院小児科
  • 1997年 日本赤十字社医療センター 新生児未熟児科
  • 2001年 昭和大学病院小児科 助手
  • 2003年〜2006年 都立荏原病院小児科 医員
  • 2006年〜2021年 東京都保健医療公社 荏原病院 小児科医長
  • 2022年 1月 大岡山こどもアレルギークリニック 開設
  • 2024年 3月 医療法人佳侑会 理事長

資格・所属学会等

  • 医学博士
  • 日本専門医機構認定 小児科専門医 指導医
  • 日本専門医機構認定 アレルギー専門医
  • 日本小児アレルギー学会 会員
  • 大田区立清水窪小学校 校医
  • 大田区立雪谷小学校 校医
  • 若竹幼稚園 園医
  • 都立荏原病院 連携医
  • 昭和大学病院 連携医
  • 日本赤十字医療センター 連携医
  • 国立病院機構東京医療センター 連携医
  • 東急病院 連携医
  • NTT東日本関東病院 連携医
  • 国立成育医療研究センター連携医