注射不要の痛くないインフルエンザワクチン「フルミスト(経鼻インフルエンザワクチン)」

フルミストとは
フルミストは、注射ではなく鼻腔(鼻の中)にスプレー投与するタイプのインフルエンザワクチンで、弱毒化された生ウイルスを用いた「経鼻弱毒生ワクチン」に分類されます。
通常の不活化ワクチン(注射型ワクチン)はウイルスを化学処理などで不活化させて使用しますが、フルミストは生ワクチンであり体内でウイルスが弱く増殖しながら免疫応答を誘導する特徴をもちます。
この方式により、免疫反応は鼻や喉の粘膜部分(粘膜免疫)および全身免疫の両方を誘導することが可能とされ、感染そのものを防ぐ力や発症したとしても症状を軽くする効果を期待できるとされています。
ただし、すべての年齢の方に適用されるわけではなく適応年齢・条件が定められており、免疫抑制状態の方や喘息など基礎疾患のある方などには使用が適さないこともあります。
当クリニックにおいては注射が苦手なお子さまや、できるだけ痛みを避けたい方に選択肢として紹介するワクチンとして、フルミストの導入を行っております。
フルミストの特徴
- 注射不要・痛みがほぼない:鼻にスプレーする方式で接種が行われるため針を刺す痛みがなく、針の恐怖や痛みに敏感なお子様にとって負担が少ない方法です。
- 粘膜免疫と全身免疫の誘導:ウイルスが鼻粘膜にあたる部位で作用するため、ウイルスが侵入する最初の防衛ラインに対する免疫を強化できる可能性があります。
- 効果の持続性・広範な防御:フルミストでは本来のウイルス感染に近い免疫反応を引き出せることから、注射型ワクチンより長期持続性があります。
フルミストの対象年齢・接種回数
日本国内では2歳から19歳未満を適用年齢としています。
接種回数は年齢にかかわらず、1シーズンにつき通常1回とされています。
※経鼻生ワクチンでは他のワクチンとの間に接種間隔を空ける必要はありませんので、他のワクチンの接種歴・接種予定にかかわらず接種いただけます。
フルミストの接種方法

接種前に鼻腔に明らかな鼻汁・鼻づまりがある場合、ワクチンが十分に浸透しない可能性があるため、鼻をかんでいただくなどして通りを確保していただきます。
専用のスプレー器具(点鼻用噴霧器)を用い、左右それぞれの鼻腔に噴霧します。
スプレー操作自体は数秒で終わることが多く、患者さんの負担が少ないのが利点です。
接種後は15~30分ほどクリニック内で安静観察を行い、アナフィラキシーなどの副反応がないかを確認することが望まれます。
フルミストでの予防接種を受けることが適当でない方
- 明らかな発熱している方
- 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな方
- 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな方
- 明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている方
- 妊娠していることが明らかな方
- 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方
フルミストでの予防接種を受けることが注意が必要な方
- ゼラチン含有製剤又はゼラチン含有の食品に対して、ショック、アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫等)等の過敏症の既往のある方
- 卵アレルギーのある方
- 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する方
- 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方
- 過去にけいれんの既往のある方
- 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる方
- 重度の喘息を有する者又は喘鳴の症状を呈する方
- 本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方
- 腎機能障害を有する方
- 肝機能障害を有する方
接種後の注意
- 接種後しばらくは鼻を強くかむ、くしゃみを強くするなど、鼻腔への過度の刺激は避けてください。
- 接種後に激しい運動や水泳は控えるようにしてください。
- 接種直後(15~30分程度)は院内で経過観察を行い、異常反応がないか確認してください。
- 顔や唇の腫れ、呼吸困難、蕁麻疹、意識の変化など アレルギー症状が出たら速やかに受診してください。
- 接種後一定期間は免疫抑制状態の方との密接接触を控える指示が出される場合があります。
当クリニックでのフルミスト予防接種について
当クリニックでは2025年10月1日(水)より開始いたします。
対象年齢は2~18歳です。
2025年から大田区では助成があり、生後6か月以上18歳(高校3年生相当)以下の方は1回4,000円の助成があります。
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